2010年 UTAU (2010/11/10発売)の頃 |
あいにゆくよ SAWA (2010) Epic (Sony) |


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1. Samba De Mar (Nakatsuka Takeshi Remix) [作詞作曲 大貫妙子 編曲 中塚武] 5曲目
SAWA: Vocal
中塚武: Remix
またろう (三沢またろう): Percussion
副田製歩: Sax
勝部賢太郎: Trombone
小沢篤士: Trumpet
写真上 初回限定盤(本曲含む) 2010年4月7日発売
写真下 通常盤(本曲含まず)
1. Samba De Mar (Takeshi Nakatsuka Remix) [Words & Music: Takeo Onuki,
Arr: Takeshi Nakatsuka] 5th track by SAWA from the album "Aini Yukuyo"
(I'm Going To See You) on April 7, 2010 (Initial Issue Only)
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SAWA5枚目のミニアルバム。曲毎に異なる作曲家・サウンドクリエイターと組み、ファンタスティックな世界を展開している。SAWAによる大貫さんの「Samba
Du Mar」のカバーは、2009年発売のコンピレーション・アルバム「Seaside Town」に収められていたが、本アルバムの初回発売分に限り、同曲のリミックスが含まれていた。なお初回限定盤と通常盤とはジャケット写真が微妙に異なっている。
「Seaside Town」ではTrak Boysによるプロダクションだったのに対し、ここでは中塚武が担当していて、同じ録音のSAWAのボーカルを使って、全く異なる演奏を付けている。イントロはビリンバウ(ブラジル音楽のパーカッション)から始まる三沢またろうのパーカッション、曲中ではサックス、トロンポーン、トランペットによるブラスセクションがフィーチャーされ、よりソリッドなリズムが強調された音作りになっている。両者を聴き比べると、サウンドクリエイターの個性が違いがわかって面白い。
私は発売当時はこの手の音楽を聴いていないので、ここで述べている事はあくまで高齢者が現在の視点で聴いたうえでの感想になる。そのうえで感じることは、SAWAのボーカルは正確無比な音程とリズム感、そして平面的な歌い回しによりボーカロイド的な色合いが強いものになっているが、同時に彼女の声そのものに聴いていると生理的快感を覚えるような人間味もあって、それが彼女の最大の魅力になっていると思う。
その他の曲について
1. あいにゆくよ [作詞 SAWA 作曲制作 縄田寿志] 遠距離恋愛を歌った曲。歌詞がすばらしい。プロモ・ビデオあり。
2. Jet Coaster [作詞 SAWA 作曲 久保田真悟 制作 Jazzin' Park] Jazzin' Parkは久保田慎吾と栗原暁のユニット。
3. サイダー [作詞 SAWA 作曲制作 大久保潤也] 昔の恋を消えてゆく泡になぞった歌詞がいいね。
4. Super Looper [作詞 SAWA 作曲制作 Ram Rider] クラブのきらめく世界を歌っている。
5. Samba Du Mar (初回発売盤のみ収録)
SAWAによる2通りの「Samba Du Mar」の聴き比べを楽しめるよ。
[2025年7月作成]
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Discover Vol.II 山田タマル (2010) Power Play Music |

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7. 都会 [作詞作曲 大貫妙子 編曲 太田貴之 or 平畑徹也] 7曲目
タマル: Vocal, Producer
平畑徹也: Keyboards
太田貴之: Guitar, Slide Guitar
MIYA (三宅信也): Wood Bass
田中真二: Drums
注: 2010年11月から2016年まではアーティスト名を「タマル」に改名していたので、「Vol.II」発表時は「タマル」名義。
写真上: Discover Vol.II (「都会」収録) 2010年11月24日発売
写真下: Discover Vol.I 2010年6月18日発売
7. Tokai (City) [Words & Music: Taeko Onuki, Arr: Takayuki Ota or Tetsuya Hirahata] 7th track by Tamaru from the album "Discover Vol.II" on November 24, 2010
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山田タマル(1982- 東京都出身)は主にインディーズで活躍するシンガー・ソングライターで、現在も元気に活動中。そんな彼女が2010年にセルフ・プロデュースにより2枚のカバーアルバムを出した。6月発売の1枚目が洋曲、5ヵ月後の2枚目が日本の歌をメインとした選曲だった。あまりジャンルにこだわらず、本人が歌いたい曲を選んだ感じで、ステージ演奏に近い感じのサウンドになっている。その2枚目の「Vol.II」に大貫さんの「都会」が入っている。
7.「都会」のコードは原曲とほぼ同じ感じであるが、こちらのほうがよりリラックスした感じの演奏・歌唱で、イントロはアコースティック・ギターのアルペジオ、途中からエレキピアノとリズムセクションが加わり、間奏はスライドギター。山田は丁寧に歌っている。
その他の曲について [編曲 太田貴之 or 平畑徹也]
1. 遠くに行きたい [作詞 永六輔 作曲 中村八大] ジェリー藤尾 1962 テレビ番組「遠くへ行きたい」で有名になった。
2. 黄昏のビギン [作詞 永六輔 作曲 中村八大] 水原弘 1959 元はシングルB面だったが、多くの歌手に歌い継がれてスタンダードに。ちあきなおみ1991年のカバーが有名。
3. 中央フリーウェイ [作詞作曲 荒井由美] 荒井由美 1976 結婚前のアルバム「14番目の月」に収録された名曲。
4. マンハッタン・キス [作詞作曲 竹内まりや] 竹内まりや 1992 同名映画の主題歌。ここではジャズのアレンジ。
5. 花 [作詞作曲 喜納昌吉] 喜納昌吉とチャンプルーズ 1980 1995年の石嶺聡子のカバーでヒットし、世界各国で歌われるようになった。
6. 異邦人[作詞作曲 久保田早紀] 久保田早紀 1979 最初CMソングで流れ、エキゾチックなムードが受けて大ヒットした曲。
7. 都会
8. The Water Is Wide (Bonus Track) [スコットランド民謡] 本アルバムの中で唯一の外国曲。古くからある民謡をピート・シーガー等が歌って広め、私としては1991年のカーラ・ボノフのカバーが一番。そういえばNHK朝ドラの「マッサン」2014-2015にも使われていたね。ここでは伴奏で「Joy
To The World」のメロディーが流れるアレンジ。Skoop On SomebodyのTAKE (武田雅治)がゲストで登場しデュエットで歌っている。
原曲に囚われず、独自のアレンジで歌っている曲も多いが、奇をてらわない素直で自然な感じに好感が持てる音作りで、彼女の歌声の魅力をしっかり引き立てている。
ついでに「Vol.I」の曲についても触れます (2枚目と同じミュージシャンによる録音のため雰囲気は同じ。編曲 太田貴之 or 平畑徹也)。
1. Smile [作詞 John Turner, Geoffrey Parsons 作曲 Charlie Chaplin] チャップリンが1936年に作曲したメロディーに歌詞を付けて、1954年ナット・キング・コールによりスタンダードとなった。
2. コーヒー・ルンバ [作詞作曲 Jose Manzo Perroni 訳詩 中沢清二] ベネズエラの作曲家によるスペイン語曲「コーヒーを挽きながら」1958
がオリジナル。1962年の西田佐知子の翻訳カバーが日本での定番。
3. My Favorite Things [作詞 Oscar Hammerstein II 作曲 Richard Rogers] ブロードウェイ
1959でメアリー・マーティンが、映画 1965でジュリー・アンドリュースが歌った「Sound Of Music」の挿入歌。ここではジャズっぽいアレンジ。
4. Blackbird [作詞作曲 John Lennon, Paul McCartney] The Beatles 1968 アルバム「The
Beatles (White Album)」収録のフォーク調の曲。ここでのピアノをメインとしたアレンジが面白い。
5. Love Me Tender [作詞 Ken Darby 作曲 George R. Poulton] Elvis Presley 1956
この曲については説明不要。
6. All You Need Is Love [作詞作曲 John Lennon, Paul McCartney] The Beatles
1967 シングル(編集アルバム「Magical Mystery Tour」に収録) 1967年通信衛星による宇宙中継特別番組で本曲の演奏シーンが世界24か国に同時放送された。原曲の派手な音作りに対し、ここではオーソドックスなアレンジになっている。
7. 君の瞳に恋してる [作詞作曲 Bob Crewe, Bob Gaudio] Frankie Valli 1967 英語タイトルは「Can't
Take My Eyes Off You」 名曲ですね〜。1982年にBoy Town Gangがディスコ調アレンジでカバーしている。
8. 言葉にできない [作詞作曲 小田和正] オフコース 1982 本アルバムでこの曲のみ日本の歌。
本当に好きな曲を歌っているという気持ちが伝わってくる作品。大貫さんの「都会」も誠実なカバーです。
[2025年7月作成]
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2011年 東京オアシス(オリジナル・サウンドトラック (2011/10/12発売)の頃 |
Midnight Explorer サノトモミ (2011) April |
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1. 都会 [作詞作曲 大貫妙子 編曲 林有三] 3曲目
サノトモミ: Vocal
林有三: All Instruments (except Guitar), Producer
竹中俊二: Guitar
金井緑: Excecutive Producer
2011年9月14日発売
1. Tokai (City) [Words & Music: Taeko Onuki, Arr: Yuzo Hayashi] 3rd
track by Tomomi Sano from the album 'Midnight Explorer' on September 14,
2011
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エイプリル・レコードはインディー・レーベルの会社で、他に放送用音源の製作、アナログ・レコードやCDの受託製造などを行っている。クニモンド滝口、林有三、押塚丘大からなるユニット、流線形のファースト・アルバム「City
Music」が2003年当該レーベルから発売され、そこでのゲスト・ボーカリストがサノトモミ(1975- 東京出身)だった(流線形はその後同レーベルから離れて瀧口のソロユニットとなり、2008年に比屋定篤子を招いて大貫さんの「何もいらない」が入ったアルバム「ナチュラル・ウーマン」を出している)。一方サノは2005年に「サイレントフライト」でソロデビューし、続いてエイプリル・レコードの経営者でソングライターでもある金井緑が実行役となって制作したセカンド・アルバムが本作だ。全8曲中3曲がカバーで、他は3曲が金井の作詞作曲、残りの2曲が金井作詞、音楽監督の林有三作曲となっている。シティ・ポップの王道というべき内容で、洗練されたアレンジと演奏をバックに歌うサノの歌声は、アイドル系のような無垢な声質でありながら、どこかクールで退廃的な大人のムードを漂わせていて、真夜中の部屋の明かりを消して聴いていると、心が透き通り都会の夜景が目に浮かんでくる。
1.「都会」のグルーヴ感はオリジナルとほぼ同じで、あえて変えずに(変えようがなく?)林が敬意を表したのだろう。原曲の坂本龍一による派手なシンセソロに対して、ここでは竹中俊二によるギターソロがフィーチャーされる。
サノの憂いを帯びた声が曲にぴったり合っているので、聴いてきて気持ちが良い一曲だ。
他のカバー曲について(以下編曲 林有三)
「夢は波に乗って」(作詞 伊達歩 作曲 山本達彦) 4曲目 山本達彦 1979 アルバム「メモリアル・レイン」収録。浜辺の街を描いたボサノバ調の佳曲で、オリジナルのアレンジは松任谷正隆。
「きっと言える」 (作詞作曲 荒井由美)7曲目 荒井由美 1973 2枚目のシングル、アルバム「ひこうき雲」 本格的に売れ出す前の初期の名曲で、当時不思議に響いた転調がとても新鮮な曲だった。荒井(松任谷)由美の曲は、ハイファイセットの山本潤子を除いて、他の人が歌っていいなと思うことがないけど、このカバーは例外。いつもより低めのキーが魅力的なサノのヴォイス、カッコイイ竹中のギタープレイ、林の丁寧な編曲、特にオリジナルのようにフェイドアウトせず、しっかりと終わっているところもとてもいいね〜
オリジナル曲について
どれもいいけど、あえて挙げるとタイトル曲の「ミッドナイトエクスプローラー」(作詞作曲 金井緑)1曲目と、最後の曲 「東京タワー」(作詞 金井緑
作曲 林有三)8曲目かな。いずれも歌詞・サウンドに浮揚感があって、サノのクリスタルな歌唱がぴったりはまっている。
サノトモミは北海道在住で、現在も各地で不定期なコンサート活動を続けている。
シティ・ポップの究極的なサウンドによる「都会」のカバーだ。
[2025年7月作成]
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