2020年  Pure Acoustic 2018 (2018/9/18) Taeko Onuki Concert 2022 (2023/6/16) の頃   
Ex Fan Des Sixties / Nati Bati Yi  Childish Tones feat 宇佐蔵べに (2020) Hello From The Gutter 










1. Ex Fan Des Sixties (思い出のロックンロール)[作詞作曲 Serge Gainsbourg 日本語詞 大貫妙子] シングル A面

[Les Childish Tones avec Beni Usakura]
Beni Usakura: Vocal
Ka-No-Ko L.K (a.k.a. Lovely K): Vocal
Nemoto De Chobeaullet: Toy Guitar
Nishioka Diddley: Toy Guitar
Tact: Toy Organ, Toy Piano
Waka The Pop: Toy Drums
Yann Kuriyama: Toy Percussion


写真上: Single 2020年3月25日発売 B面 「Nati Bati Yi (なればいい)」
写真中: Single (ピンク盤) B面 「Nati Bati Yi (なればいい)」
写真中: Split Single  B面 「Lemon Tea」 by Erieza Royal & The Summary Lynch
写真下: Various Artists 「Silent Running」 2020年1月15日発売 1曲目収録


1. Former Fan Of Sixties (Omoide No Rock 'N' Roll)[Words & Music: Serge Gainsbourg, Japanese Lyrics: Taeko Onuki] Single A-Side
Childish Tonesは、DECRECというインディ・レーベルを主宰するネモト・ド・ショボーレが2015年に結成したバンドで、1950〜1960年代の米国製ヴィンテージおもちゃ楽器にピックアップを付けて演奏するのが特徴。チューニングなどに難がある事を逆手にとって、シャビーでローファイなガレージ・ロックのサウンドを生み出している。2017年からはソロ、数々のユニットなどで活躍するアイドル歌手、宇佐蔵べに(usabeni)をフィーチャーした作品を発表している。

1.「Ex Fan Des Sixties (思い出のロックンロール)」は安田成美のアルバム「ジィンジャー」1988収録曲のカバー(曲の由来については「ジィンジャー」を参照のこと)。持ち味の安っぽいサウンドとパンキーな女性ボーカルが曲にうまくフィットしていい感じに仕上がっている。シングルのB面はグループサウンズのスパイダースが1966年に出したシングルB面曲「なればいい」(作詞 オリベゆり 作曲・歌 かまやつひろし)のサイケロックを過激にアレンジした「Nati Bati Yi」。なおこれら2曲は、別にピンク色の盤と異なるジャケット・デザインによるシングル盤も出され、さらに1.「Ex Fan Des Sixties (思い出のロックンロール)」に別アーティストの曲(Erieza Royal & The Summary Lynch の「Lemon Tea」)をB面とするスプリット・シングル盤で発売された。ちなみに1.「Ex Fan Des Sixties (思い出のロックンロール)」は、約2ヵ月前に同じレーベルから発売されたオムニバス・アルバム「Silent Running」にも収録されている。また同曲のプロモビデオが存在する。

おもちゃの楽器を使った安っぽいサウンドによる「思い出のロックンロール」のカバー。

[2026年7月作成]


 
音の箱  オトハコ (2020)  Otohako Label 


 



5. メトロポリタン美術館 [作詞作曲 大貫妙子] 5曲目

田村麻理子 (ちびまりお姉さん): Vocal
京谷ひとみ (ひとみお姉さん): Marimba
米重美文子 (よねお姉さん):Glockenspiel
志村和音 (かずねお兄さん): Piano
吉原史雄 (アーミーお兄さん): Percussion

写真上: アルバム(2020年7月13日発売)
写真下: 左より、志村 田村 京谷 米重 吉原

5. Metropolitan Bijyutsukan (Metropolitan Museum) [Words & Music:Taeko Onuki] 5th track by Oto Hako (The Sound Box) on July 13, 2020


 
クラシックの教育を受け、個々に活動する5人の音楽家が「ファミリー向け」をテーマに結成したグループがオトハコだ。子供達におもちゃ箱から飛び出したような音楽を届けたいという想いからつけた名前とのことで、各地でコンサートを開催。高い演奏技術と優しいアレンジで、子供のみでなく同席したパパママ達からも好評を博している。「音の箱」は2020年発売の自主制作盤で、カバー4曲、オリジナル2曲、カラオケ2曲からなる。

5.「メトロポリタン美術館」は、ピアノ独奏のイントロから田村の歌、続いてリズムが加わる構成。アコースティックなサウンドで、音を伸ばさずに弾くピアノと他の打楽器による演奏が個性となっている。田村の歌声は「歌のお姉さん」的(良い悪いの問題でなく)。曲の終盤では皆で歌っている。シンプルな演奏であるが、各人の演奏力と編曲のセンスにより、大人も十分に楽しめる仕上がりになっている。

他の曲について
1. オトハコマーチ [作詞作曲 志村和音] オリジナル曲。コンサート初めの曲と思われる、バンド紹介の短い曲。
2. 世界のなかま♪ [作詞作曲 米重美文子] オリジナル曲。 「さあ冒険の始まりだ!」と歌う。1.の次に演奏されるかな?マリンバの音が面白い。
3. トルコ行進曲 [作曲 Mozart] 最初はごく正統に、途中から打楽器の個性を生かした演奏になってゆく。ガムランを思わせるマリンバの低音がいいね。
4. 夢のなか [作詞 日暮真三 作曲 渋谷毅] 1998年NHKの「おかあさんといっしょ」で清水けんたろうと茂森あゆみが歌って有名になったが、それ以前に「母と子のテレビ絵本」という番組で、坂田おさむと神崎ゆう子が歌ったのが最初だそうだ。
5. メトロポリタン美術館
6. ぼよよん行進曲 [作詞 中西圭三、田角有里 作曲 中西圭三] 2006年NHKの「おかあさんといっしょ」で今井ゆうぞう (2020没)とはいだしょうこが歌った。その後作者のシンガーソングライター、中西圭三が2011年にセルフカバーしている。
7. 夢のなか [作詞 日暮真三 作曲 渋谷毅] (カラオケ)
8. ぼよよん行進曲 [作詞 中西圭三、田角有里 作曲 中西圭三] (カラオケ)

打楽器を中心としたアンサンブルによる 5.「メトロポリタン美術館」。

[2026年7月作成]


 
魔法をおしえて  山崎彩音 (2020)  Friendship/Forlife Songs  
 




1. 魔法をおしえて [作詞 大貫妙子 作曲 山下達郎 編曲 丸山佳] Single A面

山崎彩音: Vocal
丸山佳: Track Making


写真上: Single (2020年8月8日発売)
写真下: 4曲入りEP 「Cover e.p.」 (2023年9月1日発売  3曲目に収録)

1. Maho Wo Oshiete (Teach Me Magic) [Words: Taeko Onuki, Music: Tatsuro Yamashita, Arr: Kei Maruyama] by Ayane Yamazaki from the single A-side on August 8, 2020 

「魔法をおしえて」は、1983年山下達郎が自己のFMラジオ番組で大貫妙子を招いて、「如何に曲を作るのか」をテーマに番組内で作った曲だ。バックバンドのヘッドアレンジでその場で大貫のボーカルを入れて2分ちょっとの曲に仕上げたが、その後正式発表されず、その代わりに山下がメロディーに異なる内容の英語歌詞を付けて、サーフィンのドキュメンタリー映画「Big Wave」1984のテーマ曲として発表した(詳細は本ディスコグラフィー「Various (シングル、コンピレーション)」の部 「魔法を教えて」を参照のこと、オリジナルは「おしえて」が漢字になっている)。

ということでラジオで放送された曲は、その素晴らしい内容にもかかわらず未発表のままであるが、番組を録音した音源が出回ることで、ファンの耳に届くことになった。本作はそういう曰くつきの曲を37年ぶりにカバーしたものだ。発表するにあたり、著作権者(山下さんと大貫さんの両方)の許諾が必要なはずで、このような未発表曲のカバーを許可したということは、どういう経緯かわからないけど、大貫さん・山下両人がこの曲の価値を認めているということかな?

山崎彩音(1999- )は湘南出身のシンガーソングライターで、高校生の時アコースティック・ギターの弾き語りからスタート後、バンド編成に発展して2017年にForlife Songsよりアルバム・デビュー。そして2019年に英国のインディー・レーベルのオーディションに合格してセカンド・アルバムで全世界配信デビューを果たす。その後プログラミングを多用したエレクトロ・ポップに傾倒し、欧米でも高い評価と人気を集めるようになる。

山崎がこの曲をカバーしたのは、大貫さんの音楽を愛聴していた彼女が曲を聴いてとても気に入ったからということで、丸山佳(学生時代に「イカ天」に出演したバンド「宮尾すすむと日本社長」でキーボードを弾いていた人)の編曲・トラックメイキングにより制作され、海外で大評判となりドイツのインディー・チャートで1位を獲得したそうだ。日本では配信と同時にシングル盤も発売され、B面には海外での評価が高い「kitchen song」(作詞作曲 山崎彩音 編曲 丸山佳)の「dance version」が収められた。

丸山佳によるスペーシーなアレンジ、サウンド・メイキングが素晴らしく、それをバックに歌う山崎のボーカロイドのようでありながら澄んだ歌声もピッタリ嵌っている。原曲の2分強という演奏時間は、曲として短すぎる感があったが、ここでも敢えていじって長く改変せず、元のままのシンプルな構成で通しているところも良いと思う。

なお本曲は3年後に発売された4曲入りのEP「Cover e.p.」にも収められた。

大貫さんと山下による隠れた名曲「魔法をおしえて」は、ビーチボーイズ風のバンドサウンドによるオリジナルは素晴らしかったけど、ここでのエレクトロポップ・サウンドによるカバーも最高!

[2026年7月作成]


  
恋愛小説3 〜You And Me  原田知世 (2020)  Verve (Universal Music) 







 

2. ベジタブル (duet with 大貫妙子)[作詞作曲 大貫妙子 編曲 伊藤ゴロー] 2曲目
4. 二人の果て (duet with 小山田圭吾) [作詞 大貫妙子 作曲 坂本龍一 編曲 伊藤ゴロー] 4曲目
5. 新しいシャツ [作詞作曲 大貫妙子 編曲 伊藤ゴロー] 5曲目

原田知世: Vocal
大貫妙子: Vocal (2)
小山田圭吾: Vocal (4)
SARA: Back Vocal (2)

伊藤ゴロー: Electric Guitar (2), Keyboards (2,4), Programming (2,4)
佐藤浩一: Piano (4,5)
鳥越啓介: Acoustic Bass (4)
みどりん: Drums (4)
角銅真実: Glockenspiel (2), Xylophone (2), Timpani (2)
伊藤彩: Violin (4)
結城貴弘: Cello (4)

伊藤彩ストリングカルテット (2)
伊藤彩: 1st Violin
納富彩歌: 2md Violin
三木章子: Viola
結城貴弘: Cello

写真上: 初回限定盤 (2020年10月14日発売)ボーナストラック・DVD付き
写真中: 通常盤
写真下: アナログLP盤 (2020年12月16日発売)

2. Vegetable (duet with Taeko Onuki) [Words & Music: Taeko Onuki, Arr: Goro Ito] 2nd track
4. Futari No Hate (The End Of Two) [Words: Taeko Onuki, Music: Ryuichi Sakamoto, Arr: Goro Ito] 4th track
5. Atarashii Shatsu (The New Shirt) [Words & Music: Taeko Onuki, Arr: Goro Ito] 5th track
by Tomoyo Harada from the album "Ren-ai Shosetsu3〜You And Me" (The Love Novel3 〜You And Me) on October 14, 2020

「恋愛小説」シリーズの第3作目。かわむらあみり氏のサイト「音楽通信」vol.53の原田のインタビューによると、同シリーズの1作目は洋楽カバー、2作目は自身の少女時代、そして本作は1970〜90年代の名曲というコンセプトで、4曲のデュエットが入っているのが特徴とのこと。各曲を短編小説と見做して演じるように歌ったとのこと。そして「You & Me」というサブタイトルの意味は、

「デュエットもやっているということもあって、『あなたと私で歌う』という意味がひとつ。そしてしばらくはファンの方に直接歌を届けることができないので、みなさんに向けての『あなた』、そして『私』ということで、『またお会いできる日を楽しみにしています』という気持ちを込めて付けました。」

ということで、本作もコロナ禍の影響のもとで作られたことがわかる。

大貫さんが関わった作品は3曲とたっぷり入っている。2.「ベジタブル」は1985年のシングル、アルバム「copine」がオリジナル。坂本龍一のアレンジで、資生堂'85春のキャンペーンソングになった曲だ。ここでは伊藤ゴローによるエレクトロポップなんだけどアコースティックな肌触りがするという不思議なアレンジをバックに、原田と大貫が交互に歌う。歳を重ねるにつれて成熟した原田の声が、ここにきて大貫さんんと一緒に歌えるまでになったというところか。アレンジも歌唱もオリジナルを凌駕した素晴らしい出来栄え。4.「二人の果て」は坂本龍一のシングル、アルバム「Sweet Revenge」1994のカバー。そこでは坂本と今井美樹が歌っていたが、ここでの相手は元フリッパー・ギターでソロではユニット名「コーネリアス」を名乗る小山田圭吾だ。原曲に増して耽美的な世界が拡がり、曲中に聞こえるカメラのシャッター音(伊藤のアイデアだそうだ)が印象的。バックボーカルのSARAは原田の10代の姪っ子。5.「新しいシャツ」では、一転して佐藤浩一のピアノのみの伴奏で純粋に曲に向かい合っている。

その他の曲について(曲名 [作詞 作曲 (編曲はすべて伊藤ゴロー)] オリジナル・アーティスト 発表年、シングル・「アルバム」
1. A面で恋をして [作詞作曲 大瀧詠一] 大瀧詠一 1982 シングル、「ナイアガラ・トライアングル Vol.2」1982。資生堂CMソングであるが、出演女優のスキャンダルによる1週間で放送打ち切りになった。それでもそこそこヒットした曲。
2. ベジタブル
3. 小麦色のマーメイド [作詞 松本隆 作曲 呉田軽穂] 松田聖子 1982、10枚目シングル。呉田軽穂は松任谷由美の変名。
4. 二人の果て
5. 新しいシャツ
6. A Doodlin' Song (Duet With 細野晴臣) [作詞 Carolyn Leigh 作曲 Cy Coleman] Jackie Cooper 1958 シングル。俳優のジャッキー・クーパーが最初だが、ブロッサム・デアリー1959 やペギー・リー 1963 のバージョンが有名。上述のインタビューによると、この曲を聴いた途端に細野さんの歌が浮かんだという。二人は別々の場所でレコーディングしたとのこと。本アルバムのハイライトの一つ。
7. 花咲く旅路 [作詞作曲 桑田佳祐] 原由子 1991、「Mother」。複数のCMに使用されたため、人気曲となった。
8. ping-pong (Duet With 土岐麻子)[作詞 土岐麻子 作曲 伊藤ゴロー] 原田知世 2018 「L'Heure Bleue」。作者とのデュエットによるセルフカバー。本アルバムのなかでは珍しいアップテンポのナンバー。
9. ユー・メイ・ドリーム [作詞 柴山俊之、Chris Mosdell 作曲 鮎川誠、細野晴臣] シーナ・アンド・ロケッツ 1972 シングル 「真空パック」。日本航空のCMソングに採用され、細野晴臣の作曲と編曲により話題となった。ここでのロック調のアレンジもいいね。上述のSARAが英語の歌詞を語っている。
10. あなたから遠くへ [作詞作曲 金延幸子] 金延幸子 「み空」 1972。ジョニ・ミッチェルを思わせる曲で、ここでもフォーキーなアレンジ。原田の声がぴったり合っている。個人的な思い出だが、オリジナル発売当時に初めて聴いた時の感動が蘇ってくる。 

なお初回限定盤にはボーナストラックとして「Winter Lullaby」[作詞 高橋久美子 英語詞 青芝和行 作曲 伊藤ゴロー] (コンピレーション・アルバム「Candle Lights」に収録された新曲「冬のこもりうた」の英語バージョン)と、「A面で恋をして」と「A Doodlin' Song」のミューじょっくビデオを収めたDVDが付いている。


円熟した原田の歌声と大貫さん楽曲の素晴らしい取り合わせ。

[2026年9月作成]


音響ハウス Melody-Go-Round  Hana with 銀音堂 (2020)  音響ハウス   

 








1. Melody-Go-Round [作詞 大貫妙子 作曲 佐橋佳幸 編曲 佐橋佳幸、飯尾芳史 ブラス編曲 村田陽一] 映画パンフレット付属CD

[Hana with 銀音堂]
HANA: Vocal
佐橋佳幸: Electric Guitar
井上鑑: Keyboard
高橋幸宏: Drums
飯尾芳史: Other Instruments
大貫妙子: Chorus

葉加瀬太郎: Violin
村田陽一: Trombone
西村浩二: Trumpet
本田雅人: Alto Sax
山本拓夫: Tenor Sax

佐橋佳幸、飯尾芳史: Producer
飯尾芳史: Engineer
相原裕美: Director (Movie)


写真上: 映画チラシ (2020年11月14日公開)
写真中: 映画パンフレット
写真中: 付属CD
写真下: 映画DVD (2021年12月22日発売)

1. Melody-Go-Round [Words: Taeko Onuki, Music: Yoshiyuki Sahashi, Arr: Yoshiyuki Sahashi, Yoshifumi Ii, Brass Arr: Yoichi Murata] attachment CD of movie brouchure by HANA with Gin-On-Do on November 14, 2020

 
音響ハウスは東京銀座にある、レコード会社に属さない独立スタジオ。1974年12月の設立より日本のシティ・ポップスの創生に深く関わり、多くの名作を生み出した。特に坂本龍一が当該スタジオに籠って、数々のアルバムを創り上げたことで知られる。スタジオ創立45周年を記念して制作され、2020年11月に公開されたたドキュメンタリー映画の主題歌が 1.「Melody-Go-Round」だ。映画はスタジオにおける当該曲の制作作業(レコーディング、ミキシング、マスタリング)を軸として、アーティスト、エンジニア、プロデューサー、スタジオ・スタッフ、その他関係者達のインタビューや独白により、このスタジオがいかに愛されてきたかを明らかにしている。ストーリーテラーは、この曲のプロデューサーでもあるアーティストの佐橋佳幸とエンジニアの飯尾芳史(YMOや細野晴臣等の録音に携わった人)。

メンテナンス担当者の作業を通してスタジオを紹介した後、井上鑑(エレキピアノ)、佐橋佳幸(エレキギター)、高橋幸宏(ドラムス) によるリズムセクションの録音風景となる。3人が同じ部屋で衝立板無しに向き合って演奏し、打ち合わせしながら音を決めてゆく。その際にガイドとして流れる音楽は、歌手のハミング・ボーカルが入ったデモ録音で、そこでの演奏は打ち込みによるものと思われる。最後に演奏者3人とエンジニア(飯尾芳史)による座談(高橋と飯尾によるサディスティック・ミカ・バンドのアルバム録音の思い出話が面白い)。ここでの録音日は不明だが、高橋幸宏はこの後8月末に脳腫瘍の摘出手術を行っているので、この時点で頭痛などの自覚症状はあったのではないかと推測される。

次に東京スカパラダイス・オーケストラ、それと当時日本でレコーディングやリハーサルをしていたという元ヴァン・ヘイレンのデビッド・リー・ロスの独白が入る。以降録音シーンの合間にスタジオと所縁がある様々な関係者の語りが挿入される。

次は葉加瀬太郎(バイオリン)のオーバーダビング。ここで流れる音楽にはシンセサイザーが入っていて、それは「Other Istruments」とクレジットされているエンジニアの笹尾が演奏または打ち込みで入れたものと思われる。そしてホーンセクション4人の録音と続く。皆一流のプロで、演奏に付加価値を付けながら短時間で仕上げてゆく様は流石だ。

そして大貫さんが登場しコーラスのダビング。佐橋は「作詞を大貫さんに依頼したら、若い歌手のこと、映画のコンセプトなどを織り込んだ素晴らしい歌詞を作ってくれたので、感動した(要約)」と語っている。大貫さんの独白シーンの後に、ボーカルの録音風景が続く。歌手のHANAは、大貫さんの歌唱指導を受けながら歌う。アメリカ人の父と日本人の母から生まれた彼女は当時13歳。高橋幸宏に見い出され、歌手と曲作りの活動を始め、イベントやコンサートに参加、本作と同じ年にインディーズから Hana Hopeとしてデビューした。その後すっかり大人になった彼女は2025年にメジャー・レーベルからのデビューを果たし、現在はアメリカの大学に通いながら音楽活動を続けている。曲制作については、仕上げとしてミキシング、マスタリング作業のシーンが流れる。

ちなみに各録音風景の間に登場するアーティストは上記以外に、矢野顕子、坂本龍一、松任谷由美&正隆、鈴木慶一、綾戸智恵(ジャズ歌手)など。

なお本曲は映画公開に先駆けた11月2日にYouTubeで「Short Vesion」(1分29秒)の動画が公開され、その後配信によりリリースされた。また公開時に映画館で購入するパンフレットには本曲を収めたCDが添付されていた。映画はその後サブスクで配信され、2021年12月にDVDで発売されている。なおYouTube動画については、その後「Full Version」(4分34秒)も公開されている。

大貫さんと佐橋による素晴らしい曲、それを歌う新しい世代の歌手、演奏するベテランのセッション・ミュージシャン達による素晴らしいコラボが楽しめ、映画ではその制作過程を観ることができる。

[2026年9月作成]


2021年  Pure Acoustic 2018 (2018/9/18) Taeko Onuki Concert 2022 (2023/6/16) の頃   
海に向かって歌う歌   かもめ児童合唱団 (2021)  ミサキドーナッツ


5. じゃじゃ馬娘 [作詞作曲 大貫妙子 編曲 菅原弘明] 5曲目

かもめ児童合唱団: Vocal
菅原弘明: Guitar, Bass, Programming


2021年7月14日発売(CD)
2022年3月30日発売(LP盤)

5. Jyajyauma Musume (Wild Girl) [Words & Music: Taeko Onuki, Arr: Hiroaki Sugawara] 5th track by Kamome Jido Gasshodan (Kamome Children's Choir) from the album "Umi Ni Mukatte Utau Uta" (A Song Sung Towards The Sea) on July 14, 2021

かもめ児童合唱団による4枚目のアルバム(合唱団については「Ex fan des sixties (Wonderful Music)」2017を参照ください)。プロデューサーの藤沢宏光は楽器運搬、コンサート制作、マネージャーの仕事をしていた時に高橋幸宏と知り合い、YMOのマネージャーのひとりとなり、その後音楽プロデューサーとして活躍した人。2004年に三浦市三崎に移住して、現地の建物を録音スタジオに改装して音楽制作を続けながら、商店街にカフェ「ミサキプレッソ」を開店し、また「ミサキドーナッツ」の開業に関わるなど、地域振興活動に従事している。

オリジナル2曲を除き、前作同様J-Pop、フォークの名曲カバーという構成であるが、選曲が渋く、知る人ぞ知る隠れた名曲を集めている。合唱団のメンバー個々の名前のクレジットはなく(指導者である声楽家小島晁子の名前のみ)、歌手としての野心は感じられない。子供が唄う作品によく見られる「異常に上手い」という感じではなく、「ほどほどに上手く、ほどほどに下手」といった塩梅が絶妙で、それが彼らの個性であり魅力になっている。前述のミサキドーナッツが自主制作CDの発売元となったり、コンサート会場になることから藤沢達が行っている地域振興プロジェクトのひとつと位置付けることができよう。ちなみに表紙イラストは漫画家の山本直樹。

5.「じゃじゃ馬娘」のオリジナルは大貫さん3枚目のシングルで、アルバム「Mignonne」1978収録。意外にも、この曲の43年後の初めてのカバーだ! ここでのアレンジは他の曲と同じく、原曲を尊重し、そこに編曲者の創意工夫を加えたもの。面白いのはギタリストでもある編曲者の菅原弘明が、オリジナルの水谷公生のギターに対し、「俺ならこうやるぞ!」と言わんばかりに嬉々として弾いていること。ギター、ベース以外の打ち込みも冴えていて、そういえば菅原も高橋幸宏や坂本龍一等のマニピュレーターとして活躍した人だったな。歌の最初は独唱から始まり、続いてユニゾンの合唱になって、進むにつれてハーモニーが重なってゆく構成。それと歌詞の内容が女の子向きなので、より説得力があるね。

その他の曲について(曲名 [作詞作曲編曲(特記ない場合は 編曲 菅原弘明)オリジナル・アーティストと発表年、アルバム・シングル。特記
1. イージュー★ライダー [作詞作曲 奥田民生] 奥田民生 1996、8枚目のシングル。業界用語「E10」(30歳の意味)と映画「Easy Rider」1969を掛け合わせたもの。CMソングで放映されヒットし、テレビ番組のテーマ曲にもなった。
2. 情熱の薔薇 [作詞作曲 甲本ヒロシ] The Blue Hearts 1990、9枚目シングル。ドラマ主題歌の他、CMソングに多く起用された曲。
3. かっこいいジャンパー [作詞作曲 石野卓球] 電気グルーヴ 1997、アルバム「A」。オリジナルのテクノ、エレクトロ・サウンドを踏襲したアレンジになっている。マニピュレーターとして菅原本領発揮の作品。
4. 砂の女 [作詞作曲 鈴木茂] 鈴木茂 1975、アルバム「Band Wagon」。リトルフィートが伴奏を担当した鈴木茂の初ソロアルバムに収録された名曲。子供達の幼い声とハードボイルドな歌詞とのギャップが面白い。
5. じゃじゃ馬娘
6. ある日ぼくらはおいしそうなおかしを見つけた [作詞作曲 友部正人] 友部正人 1976、アルバム「どうして旅に出なかったんだ」。友部独特の言葉数の多い歌。歌詞の最初は何気ない内容だが、進むにつれ、「馬に乗り長い旅に出た」、「ヨーロッパで大量の知識人が殺され」、「よふけの酒場でしたたか殴られた」などという鋭い言葉が出てくる。それを淡々と歌う子供達の歌唱には何とも言えない味わいが感じられる。なお友部とかもめ児童合唱団がステージで共演した動画がYouTubeにあった。
7. あたらしいともだち [作詞作曲編曲 時枝政広 鈴木惣一朗] Doggy Cheerios 2015、アルバム「Eels & Peanuts」。オリジナルは時枝と鈴木の二人のみによる録音。ここでは二人が編曲と伴奏を担当している。これは隠れた名曲ですね。かもめ児童合唱団とのステージ共演の動画あり。
8. サブマリン [作詞作曲 内村イタル 編曲 猪爪東風とゆうらん船] ゆうらん船 2019 シングル。シンガー、プロデューサー、アレンジャー、エンジニアとして活動する猪爪東風とゆうらん船が編曲とバックを担当。
9. どうしてこんなに悲しいんだろう [作詞作曲 吉田拓郎] 吉田拓郎 1971 アルバム「人間なんて」。吉田拓郎初期の代表曲。
10. 世界で一番大切な人 [作詞 黒沢秀樹、藤沢宏光 作曲 黒沢秀樹] オリジナル 2021。シンガーソングライター、プロデューサー、ギタリストの黒沢秀樹が曲作りと伴奏に参加。プロデューサーの藤沢が作詞を共作している。大切な友との別れを描いた歌で、子供達と等身大の内容になっている。
11. 満月の夕 [作詞作曲 中川敬、山口洋 編曲 藤沢宏光] ソウル・フラワー・ユニオン 1995、シングル。中川敬とヒートウェイブの山口洋の共作で、ヒートウェイブからも同年発表されたが、歌詞が異なっている(ここでは中川の歌詞で歌っている)。1995年の阪神・淡路大震災の歌で、被災地の神戸で行われた慰問ライブで歌われた。沖縄をはじめとする各地の伝統音楽のエッセンスが込められた曲調が素晴らしい名曲。ここでの伴奏は藤沢や黒沢秀樹などが担当。
12. 海に向かって歌う歌 [作詞作曲 藤澤宏光] オリジナル 2021。 海に面した町三崎を舞台としたご当地ソングで、子供達の視線で書かれている。

「じゃじゃ馬娘」の曲だけを聴くと、子供が幼い声で歌っているだけの企画ものの曲に思えるが、アルバム全体で聴くと、とても説得力があって面白くなるよ。おかげ様で隠れた名曲をたくさん発見できました。

[2026年9月作成]


 
タイムトラベル   大木彩乃 (2021)  ポロリ 





 




2. じゃじゃ馬娘 [作詞作曲 大貫妙子 編曲 菅原弘明] 2曲目

大木彩乃: Vocal
菅原弘明: Guitar, Bass, Programming

写真上: 2021年7月7日リリース(配信 2.収録)
写真中上: 2021年7月21日発売 (CD 2.収録)

写真中下: 「タイムトラベル2」 2022年7月21日リリース(配信)
写真下: 「タイムトラベル2」 2022年8月12日リリース(CD)


2. Jyajyauma Musume (Wild Girl) [Words & Music: Taeko Onuki, Arr: Hiroaki Sugawara] 2nd track by Ayano Oki from the album "Time Travel" on July 21, 2021


 
大木彩乃は東京出身のシンガーソングライター。1999年にビクターエンタテインメントからCDデビューしたが、2003年よりフリーとなり、2005年に結婚して秋田県仙北市に移住。以降現地で子育てをしながら地道な音楽活動を続けている。

「タイムトラベル」制作のきっかけは、かもめ児童合唱団のアルバム「海に向かって歌う歌」2021収録曲の仮歌(ガイドボーカル→ バックトラックやボーカル録音の際の参考とするもの)を歌ったことからという。編曲者の菅原弘明との関係については、明記した資料がなかなか見つからなかったが、同氏の住処が大木と同じ地であることがわかり、そこから両者が夫婦であることがわかった(菅原氏は再婚)。

かもめ児童合唱団のバックトラックの制作に携わった菅原氏が、奥さんのガイドボーカルの出来栄えがとても良かったため、関係者と交渉して同じ音源を使用して大木彩乃のアルバムも作ることになったと推測する。両者とも自主制作なので、音源の融通も柔軟にできるのだろう。折しもコロナ禍の真っ最中であり、コンサートや講習会を開くことができない状況で、二人が家に籠って丁寧に作り上げたに違いない。ということで、「砂の女」、「じゃじゃ馬娘」、「かっこいいジャンパー」の3曲が全く同じバックトラックで、残り4曲が新たに制作されたものという構成になっている。まず配信でリリースされ、「海に向かって歌う歌」の1週間後にCD販売された(販売は自主制作元であるポロリレコードの通信販売と、渋谷パイドパイパーハウス(タワーレコード内)、武蔵小山ペット・サウンズ・レコード、秋田市細川レコード、カシワヤ楽器店という一部のレコード店のみで行われた)。

2.「じゃじゃ馬娘」を聴くと、ひばり児童合唱団で歌っていた女の子が大人になって歌っているかのよう。大木の声は大貫さんよりもアイドルっぼい女の子の声で悪くない。ここでのバックボーカルは本人による多重録音になっていて、合唱団のものとは異なるアレンジだ。別テイク、別バージョン好きの私にとって、宝物のようなトラック。

その他の曲について (すべてにつき 編曲 菅原弘明 バックの新録音では大木がピアノを弾いている曲あり)
1. 砂の女 [作詞作曲 鈴木茂] 鈴木茂 1975、アルバム「Band Wagon」。「海に向かって歌う歌」と同じバックで、しびれるね〜!
2. じゃじゃ馬娘
3. 雨の街を [作詞作曲 荒井由美] 荒井由美 1973、アルバム「ひこうき雲」。荒井由美初期の名曲のひとつ。アコースティック・サウンドによる素直なアレンジで、聴いていると当時初めて聴いた時の感動が蘇ってくる。
4. かっこいいジャンパー [作詞作曲 石野卓球] 電気グルーヴ 1997、アルバム「A」。「海に向かって歌う歌」と同じバック。
5. 東京は夜の七時 [作詞作曲 小西康陽] ピチカート・ファイブ 1993 5枚目シングル。オリジナルの野宮真貴のクールな歌声に対し、大木は暖かみで迫っている。小西の向こうを張った菅原のアレンジがアイデア満載で最高。
6. ハニームーン [作詞作曲 細野晴臣] 細野晴臣 1975、アルバム 「Tropical Dandy」。同アルバムからのシングル「絹街道」のB面という地味な曲のカバー。アコースティック・ギターとピアノ主体によるアレンジ。
7. カナリア諸島にて [作詞作曲 大瀧詠一] 大瀧詠一 1981 アルバム 「A Long Vacation」。原曲の大瀧ウォールサウンドに対し、ここでは菅原のアコギ一本の伴奏と歌唱によるシンプルなアレンジが新鮮。

アルバムは好評だったようで、1年後に色違いの同じ表紙デザインによる「タイムトラベル2」がリリースされた。曲目は以下のとおり(1枚目と曲の区別をつけるため、曲ナンバーは8.からスタートします)。

8. Downtown [作詞作曲 伊藤銀次、山下達郎] シュガーベイブ 1975、シングル、アルバム「Songs」。言わずと知れたシュガーベイブの大名曲。ここでは菅原のギター伴奏と間奏ソロに注目。
9. Plastic Love [作詞作曲 竹内まりや] 竹内まりや、アルバム「Variety」 1984。2010年代後半の海外でのJ-Popブームのなか配信により広く知れ渡った曲。 オリジナルの山下のファンク・アレンジに対し、ここでのスリーフィンガーのアコギと生ピアノにプログラミングをミックスした意表を突くアレンジが素晴らしい。
10. ピンクシャドウ [作詞作曲 岩沢二弓、岩沢幸矢] ブレッド&バター、アルバム「Barbeque」1974。当時「ニューミュージック」と呼ばれていたCity-Pop, J-Popの創生記に作られた傑作。ブレッド&バターは岩沢兄弟によるデュオで、バックはティンパンアレイ。オリジナルは1970年代前半のかなり昔のサウンドなので、ここでの現代風アレンジが効果的だ。
11. Woman "Wの悲劇"より [作詞 松本隆 作曲 呉田軽穂] 薬師丸ひろ子 1984、4枚目シングル。薬師丸主演の映画「Wの悲劇」の主題歌、資生堂化粧品「ポーセリア」CMソング。呉田軽穂は松任谷由美の変名。松任谷は「Yuming Compositions; FACES」2003でセルフカバーしている。
12. Carnival [作詞作曲 Peter Andre Svensson, Magnus Sveingsson, Nina Ellisabet Persson] The Cadigans 1995、シングル、アルバム「Life」。スウェーデンのバンド、カーディガンズによる全英35位のヒット曲。プロデュースは原田知世などの作品を手掛けたトーレ・ヨハンソン。ここでも創意工夫を生かしたテクノポップ・アレンジが冴えている。「タイムトラベル」シリーズの中で唯一の外国曲カバー。
13. Yes-No [作詞作曲 小田和正] オフコース 1980、19枚目シングル。大木の憂いを込めたボーカルが心にグッとくる好演。


以上菅原の才気あふれるアレンジ、トラックメイキングと、癖のない大木のボーカルが上手に組み合い、J-Pop名曲のカバーアルバムとして素晴らしい作品となった。

[2026年9月作成]


Kansha   Mariana Melero (2021)  Aqua   




1. La Flor (A Flower Is Not A Flower) [作詞 大貫妙子 スペイン語詞 Mariana Melero 作曲 坂本龍一] 1曲目 
4. Futari No Hate [作詞 大貫妙子 作曲 坂本龍一 チェロ・アレンジ Mariana Melero] 4曲目
8. Tango [作詞 Taeko Onuki スペイン語詞 Raul Carnota 作曲 坂本龍一] 8曲目


Mariana Melero: Vocal, Guitar (1), Spanish Guitar (4,8) Tambourie (8)
Franco Rivano: Bandoneon (1,8)
Patricio Villarejo: Cello (4)

2021年10月15日リリース(配信)

1. La Flor (A Flower Is Not A Flower) [Words: Taeko Onuki, Spanish Lyrics: Mariana Melero, Music: Ryuichi Sakamoto] 1st track
4. Futari No Hate (The End Of Two) [Words: Taeko Onuki, Music: Ryuichi Sakamoto, Arr. of chello: Mariana Melero] 4th track
8. Tango [Words: Taeko Onuki, Spanish Lyrics: Raul Carnota, Music: Ryuchi Sakamoto] 8th track
by Mariana Melero from the album "Kansha" on October 15, 2021

これは素晴らしいカバー・アルバムです!

主にボサノバ音楽を演奏するアルゼンチンの女性歌手マリアナ・メレローによる坂本龍一の楽曲のカバーアルバム。以下オンライン新聞 「RedInternational La Izquierda Diario」2021年12月2日付けのインタビュー記事からの要約です。


コロナ・パンデミックにより音楽活動ができず、家に籠って音楽に聴き浸る中、坂本龍一の音楽を再発見し、彼のメロディーを自分の声とギターで表現することを試みた。さらに彼が癌との闘病生活を送っていることを知り、異国の地から彼の音楽を共有したいという強い思いに駆られた。そこで、ソングライターとして立場から、彼の音楽に新たな解釈を提示したいと考え、彼の楽曲のレコーディング、そして私が書いたスペイン語の歌詞で演奏するための法的手続きを行い、彼とコミュニケーションをとって承認を得ることができた。

ギターと声で坂本のピアノ音楽を表現することで、アコースティックかつアルゼンチン寄りのローカルな雰囲気を持たせたいと考え、ゲストミュージシャンに現地の楽器を演奏してもらった。タイトルの「Kansha」は「感謝」の意味で、パンデミックの間ずっと坂本の音楽に接し発見することで持ち続けた思いである。その音楽は私に多くのものを与え、生み出してくれたと感じている。

このアルバムは、アルゼンチン女性が日本人ピアニストの音楽を再現した、他に類を見ないユニークな作品だ。私自身はピアニストではないが、新たな異なるアレンジによりギターに重点が置かれた作品になっていると思う。何よりも、このアルバムに込められた愛情と情熱を感じ取ってほしい。


上記のとおり日本人のピアニストが書いた作品をアルゼンチン人がギターで再解釈するという野心的な試みであるが、坂本の音楽の底に流れるブラジル音楽とマリアナのボサノバ音楽が上手くマッチして、そこにアルゼンチンのラテン・スピリットが加わることで独自であるが自然な音楽に昇華していると思う。

1.「La Flor」のオリジナル「A Flower Is Not A Flower」は台湾の二胡奏者Kenny Wenへの提供曲で、坂本がプロデュースした同名のアルバム1997に収録された。提供された曲を聴いたケニーがイメージとして白楽天の漢詩「花にして花にあらず 霧にして霧にあらず 夜半に来たりて天明に去る 来たること春夢のごとく 幾多の時ぞ 去ること朝雲に似て もとむる処なし」を伝え、曲名になったそうだ。坂本のセルフカバーは「The Very Best Of Gut Years 1994-1997」1998に収録 (映像作品「Ryuichi Sakamoto Trio Tour 1996」からのライブ音源で、ジャキス・モレレンバウム(チェロ)、エヴァートン・ネルソン(バイオリン)との演奏)。マリアナは自身のギターと著名なバンドネオン奏者フランコ・リヴァーノだけの伴奏で歌っている。大貫さんは2010年の坂本との共演盤「UTAU」で、この曲に歌詞を付けて「Flower」というタイトルで歌ったが、ここではマリアナが自作によるスペイン語歌詞をつけている。本曲の録音風景を捉えたYouTube動画の解説に掲載された歌詞の和訳は以下のとおり。

花はこうして...与える
儚い花の愛を

つまり、それは花ではない...いや
その声こそが色なのだ

輝くために花となること
ためらうことなく愛する方法を知るために

花は存在し続ける
私も花のようになりたい

月明かりの夜がその肌に眠り
花は淡い露に身をゆだねる
露は花の痛みに触れ
その痛みを留めるだけ

そして、花は与えることなく孤独だ
花は花ではない


大貫さんの歌詞よりも原題により向き合った内容で、勝るとも劣らない出来と思う。そしてバンドネオンとギターのみという最小限の伴奏で歌いきる様は見事としかいいようがない。

4.「Futari No Hate」は、1994年発売のシングルおよびアルバム「Sweet Revenge」の「二人の果て」がオリジナルで、そこでは今井美樹が坂本と一緒に歌っていた。ここではチェロとの二重奏で、日本語で歌っている。ちなみに本曲は2020年に原田知世が「恋愛小説3〜You And Me」でカバーしている。

8.「Tango」はアルバム「Smoochy」1995海外盤に収録された「Version Castellano」(スペイン語バージョン)の歌詞(ラウル・カルノタ作)で歌っている(歌詞の和訳は「Smoochy」を参照)。これも 1.「La Flor」と同じくバンドネオンが参加、ストイックな雰囲気に満ちた好演だ。バンドネオンの伴奏およびソロが入っているものの、ピアノのような持続音の楽器に対抗するような「間」を生かしたギター演奏も素晴らしい。なお本曲についてもYouTubeに録音風景の動画がアップされており、そこではスタジオ内のマリアナのマスク姿がコロナ禍の時を感じさせる。

その他の曲について (すべてにつき 作曲 坂本龍一)
1. La Flor
2. Aqua (Instrumental) 坂本が娘の美雨のために書いた曲で、彼女のデビュー・ミニアルバム「Aquascape」1998に収めるつもりだったが曲が熟さず、坂本のソロピアノによる録音「Aqua」が同日発売の彼のアルバム「BTTB」1998に収録された。そして美雨のバージョンは、約1年後に発売された最初のフルアルバム「Dawn Pink」1999に「in aquascape」として収められている。ここではハーモニカと効果音的なエレキギターが加わった演奏で、マリアナのハミング・ヴォイスと口笛が印象的。
3. Ballet Mecanique [作詞 矢野顕子 訳詞 Peter Barakan スペイン語詞 Mariana Melero] 同じメロディーで3つ歌詞・曲名が存在する曲。�@岡田有希子(1986没)のアルバム「ヴィーナス誕生」(1986年3月21日発売)に収められた「Wonder Trip Lover」、ここでの作詞者はEPO �A坂本自身による1986年4月21日発売のアルバム「未来派野郎」の「Ballet Mecanique」(矢野顕子作詞、ピーター・バラカン訳詞) �B中谷美紀のアルバム「私生活」1999での「クロニック・ラブ」 (作詞者は中谷)。 ここでは�Aの英語詞の部分をマリアナ作詞によるスペイン語詞に置き換えている。聴き取りソフトと翻訳ソフトにより歌詞の内容を調べたところ、英語詞とほぼ同じ内容だった。そして最後の日本語の歌詞はそのまま歌っている。静謐な曲が多いなか、これは軽快な感じの曲で、良い息抜きになっているね。ここでもマリアナの口笛がいい感じ。
4. Futari No Hate
5. Seven Samurai (Instrumental) 黒沢明の映画「七人の侍」を元に、近未来を舞台としたアクションゲーム「Seven Samurai 20xx」2004のエンディングテーマとして作曲された作品。坂本のアルバム「キャズム」2004では、ピアノと尺八、篳篥、二胡、古筝といった日本・中国の楽器により演奏されているが、同年発売の「/04」ではピアノと尺八のデュオになっている。。ここではイントロでのマリアナのギターと、テーマ以降の2台ギターのアンサンブル、エレキギターの効果音、彼女のヴォイスがとても良い。
6. Thatness Amd Theremess [作詞 後藤美考 訳詞 Peter Barakan] アルバム「B-2ユニット」収録。「それが何に見えるか、それがどこに見えるか」という心理学用語をタイトルにしたもので、坂本が学生運動をやっていた時の景色の記憶をもとに作曲したとのこと。オリジナルは教授自ら歌っているが、2008年のトベタ・バジュンのアルバム「青い蝶」で、高橋幸宏が歌っているカバーがあり、これは必聴アイテム。ここではサンプリングの効果音、クラリネットとギターによりオリジナルの英語詞で歌われる。
7. Perspective [作詞 坂本龍一、Peter Barakan] イエロー・マジック・オーケストラのアルバム「Service」に収められた曲。バンドの「散開」を前提とした歌詞の内容になっている。オリジナルは高橋のドラムスとシンセのビートが効いた曲だったが、ここではギターによる軽やかなストリングス・アレンジで、オリジナルと同じ英語による歌唱。
8. Tango

同アルバムは配信で発表され、CDでの販売はない(CD-Rは出回っているようだ)。


マリアナ・メレーロはその後、2023年3月28日に亡くなった坂本龍一の一周忌にあたる2024年3月に来日してコンサートに出演している。記録・映像が残っているのは以下の通り。

・ 3月23日 はらかなこ「はら八分目2nd」第13夜〜 Mariana Melero x Kanako Hara Special Live 〜於 王子ミュージック・ラウンジ
主にアニメ、CMやドラマ・劇伴で活躍し、ソロアルバムも出しているピアニストのはらかなこのオンライン・コンサート(投げ銭方式)にジョイントで出演。坂本の音楽をカバーした動画を観たマリアナがはらにコンタクトして交流が始まったとのこと。はらは坂本1周忌の3月28日に彼の曲のピアノソロ・カバーを収めたアルバム「20240328"Prologue"」を発表しているが、ここでは新作の宣伝はなく、マリアナの「Kansha」についても、はらがちらっと言及するだけで、宣伝抜きに演奏に打ち込んでいる。ここでは各自のオリジナルやスタンダードを4曲、「Kansha」から1,2,3,4,6,7、アルバムに入っていない坂本の曲「Sayonara」(日本語版 作詞 鈴木慶一、アルバム「ハートビート」1991収録。日本語による歌唱)を演っている。共に坂本の曲を情熱を込めてカバーしているだけあって、素晴らしい内容だ。フル映像がYouTubeにあり。

・ 3月31日 能登半島地震被災地復興支援チャリティーライブ  於 岐阜県 伊奈波神社
桜の花が咲く楼門を入った所をステージ、昇り階段を観客席に設定したコンサートで、彼女一人による弾き語り。坂本の曲(「Kansha」から 3,4,6,7と「Sayonara」)、オリジナル、ボサノバ曲を歌っている。神社という幽玄な場所で、澄み切った演奏を堪能できる。YouTubeにダイジェスト映像あり。

・ 4月10日 はらかなこ「はら八分目2nd」第14夜〜 Mariana Melero x Kanako Hara Special Live vol.2〜 於 王子ミュージック・ラウンジ 
翌日帰国ということで、在日最後のオンライン・コンサート(オーディエンス無し)。今回は設楽博臣(Guitar)、小久保"bon"里沙(Percussion)を加えた4人での演奏。ここでは各人のオリジナルまたはカバー6曲と、「Kansha」から3,7 (7ではマリアナはギターを弾かずに歌う)、それとアルバムに入っていない坂本の曲として前回の「Sayonara」に加えて、「ONGAKU」(作詞 坂本龍一、YMOのアルバム「浮気なぼくら」1983収録。はらのリクエストにより実現したとのこと。マリアナが日本語で歌う)、「The Other Side Of Love」 (作詞 坂本龍一、 「坂本龍一 featuring Sister M」名義でシングル発売されたが、後に娘の坂本美雨が歌っていることが判った曲。オリジナルの英語詞で歌う)を演奏している。セッション、ライブで活躍するミュージシャンを加えて、より厚みと躍動感のあるサウンドが最高。彼女のオリジナル「Rio Replay」は掘り出し物。フル映像がYouTubeにあり。

ちなみにはらは、2022年発表のソロアルバム「Light」で「Ballet Mecanique」を録音しているが、その時招かれて歌ったのは「Melody-Go-Round」でボーカルを担当したHana Hopeだった。同曲のミュージックピデオもYouTubeにアップされていて、音源・映像ともに必聴・必見。


坂本の音楽を撥弦楽器主体のストリングス・サウンドで再解釈した新しい世界。必聴です!

[2026年9月作成]


魔法を教えて   湧 (2021)   Summer Titles




1. 魔法をおしえて [作詞 大貫妙子 作曲 山下達郎]

湧: Vocal, Track Making

2021年11月24日配信開始

1. Maho Wo Oshiete (Teach Me Magic) [Words: Taeko Onuki, Music: Tatsuro Yamashita] by Waku released on November 24, 2021 

2020年代になると、音楽発表の在り方が大きく変わってきて、CDやDVDを発売せずに有料配信サイトやYouTube、ニコニコ動画などでリリースするケースが増えてきた。それに伴い従来のような綿密な企画と準備によらない録音・録画が増えてきた。それはコンピューターによる録音・発信技術の進歩もさることながら、コロナ禍により通常の音楽活動が出来きなくなったミュージシャン達が、家に籠りながら音楽を創り発表するようになった事も大きいと思う。また本記事を書いている2026年においては、上記に加えてAI技術の進歩が加わって、人間の手を借りずにコンピューターのみで演奏・歌唱をこなしてしまう時代になり、そういう風にして作ったと思われる大貫さんのカバー曲も出てくるようになった。

以上の2点から、本ディスコグラフィーの掲載対象とするか否かの基準が曖昧になってきています。私としては、宅録や配信オンリ−でも、手作り感があってかつ制作者の創意工夫が反映され、かつ作品として残すという意思が感じられるものは対象に加えたいと思います。ボーカロイドを使っていても、サウンドに人の手が加わっていればいいけど、AIオンリーによる制作は人間らしい感じがしないので対象外とします。自分の耳で聴いて判断するしかないけどね。カラオケを使った歌唱やアルバム制作目的でないライブも、かなり上手いものがあるけど対象外ですね。

以上前置きが長くなった。湧(わく)は1999年京都生まれの宅録シンガーソングライター。ロックバンド Marie Louiseのバーカリストでもある。そんな彼女が「魔法を教えて」につき以下のとおりコメントしている。

「大貫妙子さんはどんなことを思い出してこの歌詞かいたのかなとか、歌っている時どんな表情だったのかなとか、色々考えて湧なりの大貫妙子さんになってみました。ちょっと切ない気持ちになったよ。」

自宅にある設備・楽器を使ったエレクトロポップの音作りで、オリジナルのアレンジをベースとしながらも、そこに独自の音を入れ込み、芯のある歌声を聴かせてくれる。

山崎彩音(2020)の「魔法を教えて」カバーの少し後に出たもので、聴き比べの楽しさがあるね。

[2026年9月作成]


 
App Standard  Jill-Decoy Association (2021)  Pony Canyon 

 

6. 都会 [作詞作曲 大貫妙子 ] 6th track (レコードは7曲目→ B面1曲目)

[Jill-Decoy Association]
chihiro: Vocal
towada: Drums

工藤拓人: Piano
池田拓真: Guitar
平石カツミ: Bass

2021年12月21日配信 (Jet Set からのLPレコードは 2025年4月9日発売)

6. Tokai (City) [Words & Music: Taeko Onuki] 6th track by Jill-Decoy Association from the album "App Standard" on December 21, 2021

 
Jill-Decoy Association (通称ジルデコ)は、chihiro (ボーカル)、kubota (ギター)、towada (ドラムス)が2002年に結成したバンド(kubotaは2019年に脱退)。ジャズを学んだミュージシャンがポップスの中にジャズとファンクを持ち込んだサウンドで、2006年にCDデビューを果たし、以降アルバム発表、コンサート活動を続けてきた。

しかし2020年から深刻化したコロナ禍の中でライブができなくなり、その代わりに配信とレコーディングに注力したという。その中で2021年3月に配信リリースした松原ミキの「真夜中のドア〜Stay With Me」のカバーが好評を博し、それを受けてJ-Pop名曲のカバーアルバムとして制作されたのが本作で、素晴らしいメロディと歌詞が約束されていたので、迷いなく「歌唱」に向き合うことができたとのこと。タイトルの「App」は「application」の略語で、「申請、志願」のほかに「応用」という意味があり、ここでは後者のニュアンスで使われたのだろう。スマホやパソコンの「アプリ」の意味も込められているようだ。

「ジルデコ ブログ」の2021年12月16日の記事で、chihiroが大貫さんの「都会」のカバーについて以下のとおりコメントしている。

曲名の「都会」とは私達が生まれる少し前の都会(注 1977年の曲)。
未来への夢と同時に、少し退廃的な雰囲気を醸し出し、夜遊びしている大人たちに憧れて育った所があります。
その後自分が生まれる前に流行った、ソウルやファンクミュージックを大人になってじっくり聴いた時、そのサウンドに同じ様な憧れを感じました。
そんな都会への憧れをジルデコ的に組み合わせたサウンドです。

若い人たちは70年代の曲に対して、こんな風に感じているんだ............。ギターとドラムスはファンクの乗りで演奏しているのに対し、ピアノはボーカルの背後につけるオブリガードや間奏ソロが自由奔放なジャズのグルーヴで、その組み合わせがとても良い。上記の記事で、「アレンジの多くにはピアノの工藤拓人くんが多大な力を貸してくれました」とあるので、アレンジはピアノ主導で行われたものと思われる。chihiroの癖のないボーカルは、曲をうまく引き立てている。

他の曲について(曲名 [作詞作曲] オリジナル・アーティスト 発表年 シングル アルバム。特記)
1. プライマル [作詞作曲 田島貴男] オリジナル・ラブ 1996 8枚目シングル 「Desire」。鈴木京香、大沢たかお主演のドラマ「オンリー・ユー〜愛されて〜」の主題歌としてヒットした。ここでは斬新な伴奏で新しい世界を創り出している。
2. Downtown Boy [作詞作曲 松任谷由美] 松任谷由美 1984 「No Side」。1984 富士フィルム、1988 三菱自動車工業、2018 東に本高速道路のCMに使用された。ここでは異なるリズム・パターンでより洗練されたシティ・ポップに仕上げている。
3. エイリアンズ [作詞作曲 堀込泰行] キリンジ2000 6枚目シングル 「3」。キリンジの代表曲。ギター主体のオリジナルに対し、ここではピアノ・トリオによるジャズ・アレンジ。
4. テレフォン・ナンバー [作詞 三浦徳子 作曲 佐藤健] 大橋純子1981 「Tea For Tears」。美乃屋セントラルステイションと別れてソロになった頃の作品。本作ではゲストに本人(2023没)が登場し、chihiroと軽快に歌っている。ここでのアレンジは完全なジャズ。
5. 戻っておいで・私の時間 [作詞 安井かずみ 作曲 加藤和彦] 竹内まりや 1978 最初のシングル 「Beginnings」。竹内が他人の曲を歌っていた頃の作品。
6. 都会
7. 春を告げる [作詞作曲 くじら] yama 2020 配信。 yamaは年齢、出身地、素顔を明かさず、ステージでもマスクを付けて歌う。ボカロで曲をつくるくじらが作詞作曲、yamaとはネットのやり取りだけで顔を合わせずに完成させたという。本アルバム唯一の若い世代による曲。
8. Miracle Love [作詞作曲 竹内まりや] 牧瀬里穂 1991。牧瀬の歌手デビュー曲。本人出演の三菱電機、郵便貯金のCMで使用された。本シングルは本ディスコラフィーにも登場している(「あいたい気持ち」参照)。ここではアイドル・ソングがジャズ・バラードになっている。
9. 夏のクラクション [作詞 売野雅勇 作曲 筒美京平] 稲垣潤一 1983 5枚目シングル 「J.I.」。富士写真フィルムのCMに使用。ここではポップな曲をピアノ主体のジャズでアレンジ。
10. 頬に夜の灯 [作詞作曲 吉田美奈子] 吉田美奈子 1982 「Light'n Up」。山下達郎とともに当時最先端を走っていた吉田によるシティ・ポップの名作。ここではしっとりしたジャズ・アレンジ。

本アルバムは配信のみでリリースされたが、3年半後にJet Setというインディ・レーベルからLPレコードとして発売された。その際B面1曲目に「都会」を持ってくるため、「春を告げる」との曲順の入れ替えが行われた。また9ヵ月前に配信されていた「真夜中のドア〜Stay With Me」が最後の曲として追加収録されている。

chihiroはコロナ禍の間はソロで楽曲配信したり、オンライン・コンサートを行っていたが、ジルデコは2024年に無期限の活動停止に入り、chihiro-decoyとして活動していた彼女はステージ・ネームを chihiropeに改めた。なおオンライン・コンサートでは、本アルバムに収められた「都会」と、正式録音のない「突然の贈りもの」の映像を観ることができる。

ファンク・ジャズっぽいアレンジによる「都会」。

[2026年8月作成]